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「東京都中央卸売市場経営指針(案)」について、意見を募集しています!

東京都では、中央卸売市場を取り巻く環境変化やポスト・コロナの社会も見据えた上で、将来の市場の姿を展望し、今後の市場経営のビジョンを「東京都中央卸売市場経営指針(案)」として策定しています。現在、都民や事業者の方から意見を募集している様ですので、共有致します。

■募集期間

2021年1月29日(金曜日)から2021年2月27日(土曜日)まで

■応募方法

応募方法は、Eメール、FAX、郵送となっております。

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/01/29/09.html

東京都は、中央卸売市場として、11市場を運営しています。

 名称水産青果食肉花き
1豊洲市場  
2食肉市場   
3大田市場 
4豊島市場   
5淀橋市場   
6足立市場   
7板橋市場  
8世田谷市場  
9北足立市場  
10多摩ニュータウン市場   
11葛西市場  
出典:東京都中央卸売市場

市場ごとに、取扱品目が異なり、特色があります。例えば、水産の豊洲市場、食肉の食肉市場(港南)、花きの大田市場は有名のため、ご存知の方も多いと思います。豊洲市場は世界一の水産市場であり、日本国内の水産市場の約4分の1のシェアを有する規模の水産市場となります。

■東京都中央卸売市場の現状

そんな東京都中央卸売市場ですが、取り巻く環境は厳しいものがあります。下記は、卸売市場の経由率の推移ですが、平成の30年の間に、

水産で74.6%⇒49.2%(△25.4%)

青果で82.7%⇒55.1%(△32.1%)

食肉で23.5%⇒8.3%(△15.2%)

花きで83.0%⇒75.0%(△8.0%)

4品目全てで減少傾向となっています。これは、

・産地と量販店等の直接取引の増加など生鮮品等の流通チャネルの変化

・加工品を含む生鮮品等の輸入量の増加

などが要因となっており、長期的に低下傾向となっています。

出典:東京都中央卸売市場

東京都中央卸売市場会計は、地方公営企業法を一部適用し、独立採算を原則に運営しています。同会計の収入は、市場施設の使用料や一般会計からの繰入金などとしています。

■今後の取組の方向性

現状を踏まえて、今後の方向性として、7つの方向性が提言されています。

  1. 生鮮品等流通の基幹的なインフラとしての機能の強靭化
  2. 市場取引の活性化に向けた取組の強化
  3. 中央卸売市場におけるネットワークの形成
  4. 市場施設の計画的な維持更新
  5. サステナブル経営の推進
  6. 市場運営における民間経営手法の効果的な活用
  7. 強固で弾力的な財務基盤の確保
出典:東京都中央卸売市場

それぞれについて、簡単にまとめますと、

1.生鮮品等流通の基幹的なインフラとしての機能の強靭化

こちらは、卸売市場の基本機能について、生鮮品等流通の大動脈として、様々なリスクを乗り越え、機能し続けることを目指すものです。基本機能の更なる強化となります。

出典:東京都中央卸売市場
出典:東京都中央卸売市場

2.市場取引の活性化に向けた取組の強化

趣旨・ねらいとしては、「市場の商流と物流の高度化・効率化」、「市場ブランドの確立」としています。生鮮品の流通は、工業製品に比べて、デジタル化が遅れており、それにより効率化が遅れています。それをデジタル化していくことをねらいとしています。単純に競り場も、物が異なりますが、証券取引所や中古車オークションと比べても、効率化の観点では、劣後していると言えます。

また、市場ブランドとしては、「マグロの豊洲市場」は良い例ではないでしょうか。飲食店やスーパーでも「豊洲市場産」の表示を見かけることがあります(たまに、築地市場産を見かけると悲しくなりますが)。日本一高値となる豊洲市場を経由しているということで、消費者がブランド価値を見出していることになります。

3.中央卸売市場におけるネットワークの形成

市場取扱高が減少傾向の中で、現在の11市場をそのまま活かすのではなく、全体最適の視点から、各市場の役割を明確化し、役割分担をしながら、互いに連携、補完するネットワークを形成するものになります。

具体的には、

全国ハブ拠点型市場=水産の豊洲市場、食肉の食肉市場(港南)、花きの大田市場でしょうか。

地域拠点型市場=都内各地域の拠点

地域密着連携型市場=地域ニーズにきめ細かく対応

出典:東京都中央卸売市場

4.市場施設の計画的な維持更新

市場施設の多くは、建設から30年以上経過し、施設や設備の老朽化が進んでいるため、計画的な維持更新が必要となるものです。なかなか、豊洲市場の様に、移転して新設は、今後厳しいので、現状の施設の維持管理が重要となります。

5.サステナブル経営の推進

流行りのSDGsでしょうか。

6.市場運営における民間経営手法の効果的な活用

民間経営手法の例として、「未利用資産の有効活用」、「施設の高度、複合的な利用」、「アウトソーシングの拡大」などを挙げていますが、豊洲市場の千客万来施設も一つの民間活用だと思います。

市場は、深夜~早朝の時間帯に集中し、午後~夕方は閑散としていることが多いので、未利用資産としては、活用方法が多くあると思います。特に都心に近く、レインボーブリッジや東京タワーなどの都心を望める豊洲市場屋上は、MVの撮影が多く行われるほど、利用価値は大きく、「ルーフトップバーでも出来れば、流行るのにな」と思います。

市場経由率が長期的に低下傾向ですので、公営で行うだけでなく、民営化も選択肢の一つとして、踏み込んだ内容だと思います。

7.強固で弾力的な財務基盤の確保

現時点では、今後約50年間の事業継続性を確保出来ているものの、財務体質の改善を通じた経常収支の黒字化を目指すものになります。

以上が本指針の7つの方向性となります。

特に、豊洲市場は、賑わい施設や観光名所との期待もありますので、せっかくなので、意見を応募してみたいと思います。