2021年7月15日に交通政策審議会の「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等に関する小委員会」が開催され、「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」が答申されました。そこで、湾岸民注目の東京8号線(有楽町線)の豊洲~住吉間の延伸が「早期に事業化を図るべき」と位置づけられ、実現に向けて大きく前進しました。
■本小委員会の位置づけ
東京メトロは、政府(53.4%)、東京都(46.6%)が株主となる株式会社です。東京メトロは、東日本大震災の財源とすべく、民営化されることが決まっています。そのため、東京メトロとしては、新たな投資を伴う「新線建設は行わない方針」としています。
ただ、東京メトロは、「首都・東京を含めた東京圏の社会経済活動において重要な役割を担っている」ことから、大局的な見地で、新線について、国と東京都が議論することになったものです。
■結果
この「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」では、2016年交通政策審議会198号答申の24路線のうち、3路線について、議論されました。
その3路線が、
①東京8号線(有楽町線)の延伸(豊洲~住吉間)
②都心部・品川地下鉄構想
③都心部・臨海地域地下鉄構想
になります。
それぞれの結果は、
「早期の事業化を図るべき」と実現に向けて大きく前進
②都心部・品川地下鉄構想
「早期の事業化を図るべき」と実現に向けて大きく前進
「事業化に向けて関係者による検討の深度化を図るべき」と具体的な検討を進めるべきという感じでしょうか。
都心部・臨海地域地下鉄構想については、優先される3路線に選ばれたこと自体が、大きく前進といえる状況だと思いますので、あと一押しという感じだと思います。
江東区のHPでは、東京8号線(有楽町線)の延伸(豊洲~住吉間)の路線を示しており、
豊洲駅
新駅①(枝川?潮見?)
東陽町駅(東西線)
新駅②(千石?)
住吉駅(半蔵門線、都営新宿線)
となるのではないかと思われます。
■東京8号線(有楽町線)の延伸(豊洲~住吉間)の効果
この路線が期待される効果としては、
○国際競争力強化の拠点である臨海副都心と都区部東部の観光拠点や東京圏東部・北部地域とのアクセス利便性の向上。
○京葉線及び東西線の混雑の緩和。
の2つがあります。
■東京8号線(有楽町線)の延伸(豊洲~住吉間)による、湾岸エリアへの影響
湾岸民にとっては、都心部・臨海地域地下鉄構想の方を推す人が多い気がしますが、私自身は東京8号線延伸も、湾岸エリアの発展や資産性に非常に大きな、好影響を与えると考えています。その理由ですが、
1.スカイツリーの押上や浅草とアクセスが向上し、観光客の増加が期待
有楽町線延伸が実現した場合、半蔵門線と繋がる可能性もあり、その場合、日本有数のスカイツリーがある押上駅と豊洲駅が直通運転される可能性もあると想像しています。
日本有数の観光地である、スカイツリーと豊洲市場が繋がることで、観光客の増加が見込まれます。
2.豊洲のオフィスへのアクセス向上
オフィスとしては、複数路線からのアクセスが向上することは、非常に大きなメリットとなります。豊洲の魅力は、職住遊学のミクスドユースの街ですが、職の魅力も高まることが見込まれます。
3.豊洲のマンションのアクセス向上
豊洲や東雲、有明に住んでいる方の中で、「実家が江東区」という方が少ない様に感じています。元々地縁がない埋め立て地ということもありますが、江東区内のアクセスが不便であり、交流が少なかった影響もあると思います。そういう面では、東陽町や住吉に実家がある、お住いの方にも「豊洲が近くなる」ことで、豊洲に引き寄せる力が強くなると考えています。
地下鉄は、着工から開通まで6~8年は掛かる様ですので、早く着工が待たれるところです。コロナ禍で、鉄道利用客が減っている中であっても、実現に向けた判断がされたことは、大いに期待したいところです。