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日本の水産業の状況について

豊洲には、世界最大級の水産市場である豊洲市場があります。今回は、日本の水産業の状況について、水産庁が発行する「令和元年度 水産の動向」から、概要をお伝えしたいと思います。

出典:令和元年度 水産の動向(水産庁)

■平成の30年間で、漁業生産量は約3分の1へ

日本の漁業は、第2次世界大戦後、沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へと漁場を拡大することによって発展しました。昭和50年代にはマイワシの漁獲量が急激に増大した結果、漁業・養殖業の生産量は、昭和59(1984)年にピークの1,282万トンとなりました。ただ、平成の30年間で、1,191万トンから442万トンと約3分の1に減少となっています。

出典:農林水産省「漁業・養殖業生産統計」

■世界の1人当たりの食用魚介類の消費量は半世紀で約2倍に

世界では、1人当たりの食用魚介類の消費量が過去半世紀で約2倍に増加し、1990年代以降においてもそのペースは衰えていません。

出典:「FAOSTAT(Food Balance Sheet)」

食用魚介類の消費量の増加の要因として、輸送技術等の発達により食品流通の国際化が進展し、また、都市人口の増加を背景に国際的なフードシステムとつながったスーパーマーケット等での食品購入が増えていること、また、この結果として経済発展の進む新興国や途上国では芋類等の伝統的主食からたんぱく質を多く含む肉、魚等へと食生活の移行が進んでいることなどを挙げられます。さらに、健康志向の高まりも水産物の消費を後押ししているものと考えられます。魚介類は、世界の動物性たんぱく質供給量の17%を担う重要な食料資源となっています。

ただ、世界の主要国の中で、元々、日本は1人1年当りの魚介類消費量が世界一でしたが、ここ20年(1997年→2017年)で▲31%と減少しています。

出典:令和元年度 水産の動向から筆者作成

■卸売市場は水産物の効率的な流通において重要な役割

卸売市場には、1)商品である漁獲物や加工品を集め、ニーズに応じて必要な品目・量に仕分する集荷・分荷の機能、2)旬や産地、漁法や漁獲後の取扱いにより品質が大きく異なる水産物について、公正な評価によって価格を決定する価格形成機能、3)販売代金を迅速・確実に決済する決済機能、4)川下のニーズや川上の生産に関する情報を収集し、川上・川下のそれぞれに伝達する情報受発信機能があります。多様な魚種が各地で水揚げされる我が国において、卸売市場は、水産物を効率的に流通させる上で重要な役割を担っています。

特に、豊洲市場は、世界最大級の水産卸売市場であり、その取引価格は、国内の全卸売市場に大きな影響があります。

出典:令和元年度 水産の動向

■市場外流通が増加

一般的に、水揚げされた水産物は、まず水揚港に隣接する産地市場で集荷され、魚種、サイズ、品質等により仕分された後、産地出荷業者や加工業者等に販売されます。全国各地の水産物は、そのまま又は加工等を経て消費地卸売市場に出荷され、仲卸業者、小売業者等を経て消費者の手元に届けられるのが、従来の水産物の流通です。

一方、近年は、漁業者による直販や、漁業者と小売店又は外食チェーン等との直接取引が増加しており、これには流通コストの縮減、流通時間の短縮、従来の流通ルートに乗らなかった未利用魚の販売といったメリットが考えられます。 平成期においては、水産物消費の減少を背景として国内の水産物流通量が減少し、消費地市場を経由して流通された水産物の量は、平成元(1989)年の652万トンから平成28(2016)年の294万トンに減少しました。また、水産物の消費地卸売市場経由率は、平成元(1989)年の75%から平成28(2016)年の52%へと低下しました。

出典:令和元年度 水産の動向

豊洲市場も取扱高は減少傾向となっていましたが、新型コロナウィルスの影響で更に大きな影響を受けています。その中でも、食の流通を止めない様に頑張っている、豊洲市場の関係者を応援したいと思います。